農学博士 児玉不二雄のWeb講座 植物の病気の話

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更新日:2009.11.06(金)

第4話 ジャガイモの黒あざ病

メールが届きました。一番怖いこのサイトの「編集者」からです。「先生、そろそろ出番ですよ-。あのジャガイモの表面にしがみついている菌核はどうなりましたか?」。
さてー。

《 塊茎-カイケイ- 》
 人間は植物の葉・根・果実などを食べます。ジャガイモとして食べる部分は、塊茎です。茎がふくらんでこぶ状(塊)になったのです。塊茎の表面に付いているのが菌核です。黒っぽい褐色をしていて、イモの表面にあざ(痣)ができたようです。病気の名前はこの症状に由来します。
 塊茎は人間の食用にもなるのですが、種いもにもなります。食べられてしまうとそれでおしまいですが、土に植えられると、ジャガイモの一生が始まります。 
▲塊茎に密着した菌核と
新芽が出たところです
《 様々な病徴 》
 種いも(塊茎)は土中で芽を出します。地上に顔を見せると萌芽-ホウガ-といいます。語感が良いですね。一方、土の中では根の他に茎(ストロン)ができ、その先がふくらんで塊茎になります。
 さて、あの菌核はどうしたのでしょうか。菌核から芽を出したカビは、ピッタリとジャガイモについてまわります。萌芽期の芽を侵し、ストロンを発病させ、最後には塊茎にしがみつくのです。この病気にかかると、塊茎が大きくなれません。写真(4)の左は発病したジャガイモ、写真(4)の右は、病気にかからなかったものです。

▲(1)新芽の発病。
もう新芽の先端が褐変しています
▲(2)若い茎(土に埋もれた部分)の周囲に
病斑があります

▲(3)茎の地上部にまで白いカビが
はい上がってきています
▲(4)右側は健全株にできた新イモ、左側は病気にかかった株でできたイモです。
菌核もついているし、塊茎も小さいですね

《 病原菌・伝染源 》
 Rhizoctonia solani(リゾクトニア・ソラニ)というカビです。このカビは土中で生きのびる(サバイバル)ために菌核(カビのかたまり)をつくるのです。菌核は塊茎から離れて土中から直接感染することもできます。これを土壌伝染といいます。塊茎にしがみついた菌核の方は、種いも伝染ということになります。

▲純粋培養した病原菌。右側では白いカビが見えます。
褐色や黒い塊が菌核です
 

今回のキーワード:塊茎、種いも伝染、土壌伝染
写真:著者原図