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【太陽と水と土108号】液体たい肥 土いきかえる開発ストーリー

【話題の製品】 液体たい肥 土いきかえる
環境大善株式会社
地域資源を微生物の力で循環させ、農業と暮らしへ届ける

環境大善(北海道北見市)は、酪農家から買い取った牛尿を発酵・培養技術で消臭液や液体たい肥へと転換する、独自の「アップサイクル型循環システム」を確立しました。地域課題の解決と、農業・暮らしへの貢献を両立する取り組みをご紹介します。

 

地域課題から生まれた循環型ものづくりの原点
1998年、北海道北見市。ホームセンターの店長だった環境大善の創業者・窪之内覚氏のもとへ、酪農家を営む従兄弟が一本のボトルを手に訪ねてきました。当時、土壌に染み込んだ牛尿が常呂川へ流出し、漁業に影響を与えることが地域の課題となっていました。酪農家は自前の設備で牛尿を処理していましたが、その維持費は経営の大きな負担となっていました。処理液をただ処分するのではなく、何らかの商品として販売できないか。そう考えた従兄弟が持ち込んだのが、その一本のボトルでした。臭いを嗅いだ窪之内は驚きます。牛尿が原料にもかかわらず、ほとんど臭いがなかったのです。しかも従兄弟によれば、この液体を畑にかけると植物の生育がよくなるといいます。公害の元として処理に苦しんでいた牛尿が、価値ある資源に生まれ変わる可能性を秘めている。酪農家の負担を軽くし、地域の課題にもつながる。窪之内はこの液体の商品化を決断し、ホームセンターで販売を開始。2006年にはホームセンターから環境商品事業部を譲り受け、独立開業を果たしました。

 

牛尿を地域で循環させる独自の仕組み
あの一本のボトルとの出合いをきっかけに、環境大善が現在まで磨き上げ、運用してきたのが、独自の仕組み「アップサイクル型循環システム」です。酪農家から牛の尿を買い取り、環境微生物群で発酵・培養して「善玉活性水™」と名付けた原料へと転換。これを消臭液や液体たい肥として製品化し、ユーザーが使用することで土・水・空気の環境改善へとつながる、サーキュラーエコノミーに基づく一貫した仕組みです。かつて漁業に悪影響を与える公害の元であった牛尿を地域資源として活用することで、酪農家の収益確保、地域内の雇用創出といった複数の課題解決に同時に取り組んでいます。ユーザーは製品を使うだけで環境改善へ参加でき、環境大善は北見から全国・世界へとこの循環の輪を広げていくことを目指しています。

研究開発で磨く製品の信頼性
この循環システムを支えているのが、自社の研究開発体制です。環境大善では2020年に社内の研究部署「土、水、空気研究所」を立ち上げ、自社製品の効果や使い方を科学的に確かめています。同研究所では、製品の品質向上や、新たな用途開発にも取り組んでいます。主力製品のひとつである「土いきかえる」については、植物ホルモン様の応答を介して根の伸びや地上部の生育を促進する作用が確認され、その成果は2024年に日本農芸化学会の英文学術誌『Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry』に掲載されました。現在も、小規模な栽培試験から実際の圃場に近い条件での試験まで行い、作物や時期に応じた、より効果的な使い方を検討し、現場で使いやすい提案につなげています。


● 北見工業大学 環境大善共同研究講座


● 北見工業大学 環境大善共同研究講座

 

牛尿から生まれた完熟液体たい肥
「土いきかえる」は、牛尿由来でありながら、製品は嫌な臭いが気にならず、液体のため潅水時にも施用できます。「土いきかえる」には、植物生育促進効果に加え、土壌改良効果も確認されています。その効果は、肥沃度の低下した土壌で特に顕著です。連作などで地力が落ちた土壌で行った試験では、散布4週間後に、SOFIX農業推進機構が定める指標である窒素循環活性が約2.4倍、リン酸循環活性が約4.7倍に上昇しました。これは、土の中にある窒素やリン酸が、作物に吸収されやすい状態へと変化したことを示しています。使用方法は作物や生育段階に応じて、50~100倍程度の範囲で希釈倍率を調整します。育苗期から生育中期、生育中期以降、堆肥代替や収穫後の残渣分解など、目的や圃場条件に合わせて使い分けることができます。


(出典:一般社団法人SOFIX農業推進機構「SOFIXとは」より引用)


(出典:一般社団法人SOFIX農業推進機構「SOFIXとは」より引用)

 

農業から芝管理まで広がる活用の場
「土いきかえる」は、畑作や稲作などの農業現場に加え、芝管理の分野にも活用が広がっています。農業現場では、連作による地力低下や生育のばらつきが気になる圃場で、土壌環境を整える目的で使用されています。2025年には秋まき小麦「きたほなみ」の圃場で、除草剤散布時に100倍希釈で施用したところ、約2週間後に生育差が目立ちにくくなるなど、多くの生産者から高い評価を得ています。


● 2025年5月20日時点


● 2025年6月5日時点

また、JRA東京競馬場の芝コースでは、2022年からの試験評価を経て、2024年10月に一部区画(約3,000㎡)で採用されました。芝のクッション性や緑度などが評価され、2025年10月からは外周・内周あわせて約100,000㎡のコース芝全体へ採用範囲が広がっています。農業から芝管理まで、植物の健全な生育を支える資材として評価されています。

 

 

もうひとつの主力製品
消臭液「きえ~る」
同じ循環システムから生まれたもうひとつの同社主力製品である消臭液「きえ~る」については、サングリンカタログで公開中です。
ぜひご覧ください。

\ 誌面版も公開中!/
誌面はこちら >>> 太陽と水と土108号「技術と情報キャラバン」

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